冷たい雨が降るこの地から 暖かく穏やかな地へ届け物を降らせる いきもののはなし
永遠に会えない場所へ旅立った人を思う時
その人の周りに綺麗な花が降る
数年前に聞いたこの話にすがるように
思い出すたびに
そうであれ と願う
でも父はあまり花の種類を知らない
そう言っていた
お酒の種類は沢山知っているのに
先月
化学物質過敏症が悪化し
一時生きるために足掻くことを諦めた
久しく経験しなかった症状でもう何も考えたくなかったのだ
眩暈と吐き気と呼吸困難と心臓の痛みと四肢脱力で考えることが不可能だったともいえるが
死なない為に必死になろうという気が失せていた
夏日がぶり返し、シャワーを浴びたいはずなのに浴室まで這って行かれない
冬並みの寒さが訪れたのに飲食物をあたためる気がなく
もしかしたらその発想もしなかったのか?
ともかく麦茶を作ることも味噌汁にすることさえ考えられず
ただただ常温の水を口にした
眩暈でPC画面を見ることができない日もあった
金木犀のにおいが部屋に侵入した時
その強い刺激が
自然由来なのか
柔軟剤なのか
脳が判断できず狂ったように叫んだ
腫脹していた気管支が悪化した
痛みは心臓にまで達した
水道水で皮膚に傷みは出ないが
シャワーから出るそのにおいに頭痛と吐き気を催し恐怖した
何年ぶりだろう
こんなに心身共にやられたのは
ある日
急に気温が下がり
VOCによる刺激が減った
金木犀も散り
症状がわずかに落ち着いて
漸く温かいものを摂らねばと考えることができるようになった
それまで
室温が25度を切っていたのに
衣替えの気力もなく
真夏の服と布団で生きていたのだ
それで寒いと感じなかったほど何も考えてなかった
寒い時には温かいものをとりなさい
服も
部屋も
食べ物も
飲み物も
それだけで心が落ち着くから
そんな簡単なことにやっと思い至り
安全な(と一応されている)水を沸かす
柔軟剤やカビの臭いは上がってこなかった
先ずは白湯で一口
やっと
やっとだ
11月2日に間に合ってよかった
今日の予想気温は16℃
この秋一番の冷え込みだ
これからまた雨が降る
秋風秋雨人を愁殺すを直訳したり
秋の長雨はセロトニン不足で情緒不安定になりやすいとか
以前の私ならそうだったが
先月からすべてがひっちゃかめっちゃかだったので
気温が低く(VOCが少ない)
日光に乏しく(拡大した瞳孔に刺激が少ない)
雨が降る(近隣からの柔軟剤曝露が減る)
今日のような日は心が落ち着くだろう
そして温かい飲み物を一口
穏やかな心で
父にフルボディの赤ワインと
私が好きだったペッパー入りのゴーダ
そして咀嚼力の心配をしない所にいるので
貝ひもを
頭の上に降らせるのだ
ものがものだから
パラシュートをつけなければならないだろう
誕生日おめでとうございます