みゃうまつもは穏やかに暮らしたい

化学物質過敏症みゃうまつもの雑記帳 言いたいことも言えないこんなおからだじゃ~

桜とチューリップしか知らない~父と梅との思い出

花は2つしか知らない そう言っていた父と一緒に梅を見て回った いきもののはなし

 

 

 

 

先日

とある件で神奈川に行った(もちろん自転車で

2月の中旬 梅の季節

通り道には生産緑地地区もあり

小さな梅園気分も味わえた

 

 

梅には父との思い出がある

 

20240308桜とチューリップとバラしか知らない 生産緑地地区の梅

 

 

 

 

いつどんな状況だったかは覚えていないが

父は私にこう言った

 

俺は

花は桜とチューリップしか知らないからなあ

 

 

バラも知ってるでしょう?

 

そう問うと父は

 

 

そうだな

まあそのくらいしか知らない

 

少し笑って答えた

 

 

 

(3つしか知らないなんて訳ないよな

たんぽぽとか知ってるはずだよな?)

 

私はあの時

心の中でそんなことを突っ込んでいた

 

 

 

 

それから何年か経ち

私が大学生の頃

 

花の会話同様

いつどんな状況でそうなったかは覚えていないが

冬のある日曜日

父と散歩に出かけた

 

 

話の内容は細かく覚えていないから

何かの相談だとか深刻な話をするためではなく

 

授業や実習はどうか

教授とは話をしているか

前に教えたとんかつ屋さんにはあれから行ったか

 

そんな他愛もない内容だったと思う

 

 

 

目的地があっての散歩ではないから

あちこちぶらぶら歩き回った

 

沈丁花にはまだ早い季節

この季節に咲く花は梅くらいだから

 

住宅の庭

公園

お寺

農地

 

各所の梅の木を歩道から眺めてただ歩いた

 

 

花梅 実梅

野梅 緋梅 豊後

一重 八重

本紅 移り白 移り紅 口紅 源平咲き

不整形 枝垂れ

 

 

梅には複数の分け方があるが

どれにも個別の趣があり

 

私はそのなかでいっとう

薄緋で一重の枝垂れに心をひかれる

 

 

散歩した道に枝垂れ梅はなかったが

観賞用に見栄えよく

収穫用に効率よく

目的があって剪定された梅の他に

只管

真上、真上に青い枝を伸ばす梅の木があった

 

それは

寒さの中

一心に太陽に手を伸ばすかのような

たくましくも美しい姿であった

 

 

柵越しに

ブロック塀越しに

網フェンス越しに眺めるそれらの梅の中に

 

枝は広がらず華奢な佇まいの

白に鮮紅の絵の具をほんの一滴落としたような

儚げな色合いの梅を見た

 

 

こういう薄いピンク色の梅の方が

紅とか白とかより好きなんだ

 

ふうん

 

 

別にそこから話が広がることもなく

単に好みを伝えただけで終わった会話なのに

 

父に薄緋の梅が好きだと伝えたことを

とてもよく覚えている

 

 

大好きな枝垂れ梅ではなく

真っすぐな樹形の梅に珍しく興味を持ったのも

記憶に残る理由だったのだろうか

 

 

 

 

2024年3月8日

深夜1時

東京は雨

これから未明に霙になるという

 

 

先月観た梅の花も

もうずいぶんと散ってしまっているだろうが

この霙で仕舞になるだろう

 

 

雪に耐えて麗し

というが

 

先月の大雪は湿気を多く含み

柄折れの不幸に見舞われた梅も多かった

 

20240308桜とチューリップとバラしか知らない 生田緑地の梅園

2024/02 生田緑地梅園にて

 

 

人々の懸命な手当てを受けて回復しようとする梅に

今日の霙は辛かろう

 

 

父と梅の会話や

生命力あふれる若き枝を思い出した日だったから

よりいっそう

今日の霙予報を辛く感じる

 

 

 

(お父さん?

バラも知ってたでしょ?

だから梅だって

思い浮かばなかっただけで知ってたでしょ?

冬しか咲かないから花の存在は薄いけどさ?

お父さん?)